野村総研インサイトシグナルコンテスト入賞!

[学生からのコメント]
 今回私達はNRIの「マーケティング分析コンテスト2016」に参加しました。今年度は第十回目の記念大会ということで、2012年から隔年3年分の時系列データが提供されました。対象者の異なるシングルソースデータが3年分、つまりパネルデータではなく反復横断データであり、従来の手法では消費者の購買行動の長期的な推移を理解することは困難です。そこで今回は最新の潜在クラスモデルの段階推定という手法を用いてこの課題を解決しました。実際の購買データをこの手法で解析したのが本研究の新規性です。
セグメンテーション後の分析はもっと深くまで踏み込んで、具体的なインプリケーションまで提案できればよかったですが、膨大なデータに対する処理方法という面で評価していただき、佳作を受賞することができました。
膨大のデータを取り扱うということで、着想からデータ整形、分析まではかなりの時間がかかりました。メンバーは各々の予定がある中で、特に夏季休業に入ってからは集まれる日は集まり、解析班だけの合宿も行い、精力的に活動してきました。佳作という結果に甘んじず、今後も精進していきたいと思います。
最後に、研究にアドバイスを下さった星野崇宏教授、大学院生の方々、星野研究会の先輩・同級生の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
【星野先生からのコメント】
 公的統計調査やマーケティング調査では”毎回別の人から情報を得る”反復横断データが基本です。このようなデータからは当然ながら同一対象や同一セグメントの変化を追うことは困難でした。一方、同一対象者を追跡するパネル調査やシングルソースデータでは変化を追うことは可能ですが、コストや対象者の脱落の問題、調査における学習の問題からなかなか実務では実施することが困難です。
これに対して、反復横断データに対して近年提案された「潜在クラスモデルに対する段階推定法」を用いることで、セグメントの構成比の変化を理解したり、長期的なマーケティング施策立案を行ったりすることが可能になります。
本研究ではこの方法論を野村総研のインサイトシグナルという反復横断データに適用し、消費者セグメントの生成・消滅を含めた時系列的変化を逐次的に把握しています。
各セグメントの認知率や購買率の推移などは本フレームワークを適用したからこそ観察できた成果であり、結果としても大変興味深いものとなっています。
但し、利用したデータの制約から、マーケティング施策への具体的なインプリケーションを得ることが難しかったことは大変残念です。
このような課題は残るものの、院生や社会人も参加した学外のコンテストで、学部3年生がゼミ配属後半年で学部生としては最高位で入賞するまでに至ったことは、指導教員として班員に対して心からその努力を称えたいと思います。よく頑張りました。
S__19193872